HDDバックアップ


本記事は、WindowsXP 限定です。
WindowsVista以降のOSには適応できません。


(以下は、2008年8月の記事です。)


最近のパソコンは,OSのCD-ROMが添付されておらず,OSのインストールイメージが,隠しパーティションに置かれているケースが多いようです。

購入した時に,ユーザがそこからCD-RまたはDVD-Rにバッアップをとっておくという形になっているようです。しかし,購入時にちゃんとバックアップを取っておくユーザは,半分にも満たないのではないでしょうか?
実際に,システムが壊れてから,大慌てするということになります。
メーカーでは,そのためにバックアップイメージのCD-ROMやDVDをサービスとして販売してはいますが,価格は1万円前後します。

そこで,HDDは壊れていないが,OSが壊れてしまった時にこのバックアップ媒体を作成する方法を紹介します。

但し,この例はNECのVALUESTARシリーズのあるモデルの例ですから,他のモデルでも適用できるかどうかは保証できません。このシリーズの場合Norton Ghostのバックアップ形式で格納されているようです。
また,当然ですが,インストールイメージの含まれているパーティションが壊れていないことが前提です。

(1)HDDを取り外す
本体からHDDを取り外して,正常に動作するPCに接続します。
すると,HDDの後の方にインストールイメージを納めたパーティションが見つかる筈です。これが見つからなければ,あきらめて下さい。

(2)ファイル構造の確認
このシリーズのインストールイメージを納めたパーティションの構成は下図のようになっていました。(VALUESTAR VC700/4E)の例。



バックアップの内容自身は,BACKUPフォルダーの中に納められているようです。
このデータを元にして,バックアップCD-Rを作成します。
必要なCD-Rの枚数はモデルによって異なるようです。(5〜8枚)
このモデルでは,7枚必要です。

(3)1枚目のCD-Rの作成
1枚目のCD-Rは,ブート可能である必要があるため,他のCD-Rよりも作成がやや面倒です。
ここには,
・BOOTCDフォルダの中の全ファイル
・WXP_BASE.GHO
を格納します。
ブートイメージとして,BACKUPフォルダの中にあるBOOTFD.IMGを使用します。



Bootable CDの作り方は,CDを焼くソフトによって異なりますが,ここでは説明を省略します。ご自身で調べて下さい。
筆者は,Neroの無料体験版を利用しました。

(4)2枚目〜(最後-1)枚目のCD-Rの作成
2枚目以降のCD-Rには,WXP_B00*.GHS ファイルを一つずつ格納します。
例えば
2枚目:WXP_B001.GHS
3枚目:WXP_B002.GHS
4枚目:WXP_B003.GHS
5枚目:WXP_B004.GHS
6枚目:WXP_B005.GHS
のように。

何枚になるかは,WXP_B00*.GHS がいくつあるかによります。
これらのCD-Rは,ブート可能である必要はないので,簡単です。

(5)最後のCD-Rの作成
最後のCD-Rは,
・一番大きな番号の WXP_B00*.GHS (この例ではWXP_B006.GHS)
・VSREP.GHO
・VSREP2.GHO
・\REPをフォルダーごと
CD-Rに焼きます。
このCD-Rもブート可能である必要はありません。



以上で,CD-Rは出来上がりです。
あとは,PCに添付されているマニュアルに従ってリカバリを行って下さい。


DVDやCDの保存方法

バックアップを取ったCD(CD-R,CD-RW等)やDVD(DVD-R,DVD-RW/RAM等)の保存には,十分注意しましょう。
保存状態が悪いと,いざという時にせっかくのバックアップデータが,読めないという惨事が起こり得ます。

【常温で暗所に保存する】
CDやDVDは高温や高湿度,光を嫌います。特に,直射日光には強力な紫外線が含まれており,直射日光の下に長時間晒すとデータが消えてしまいます。媒体にもよりますが,品質の悪い媒体だと,3日位でデータが読めなくなってしまったという実験結果もあります。直射日光程ではありませんが,蛍光灯の光などもいい影響は与えません。

【記録面に傷をつけない】
CDやDVDの記録面は,比較的柔らかいポリカーボネイトで覆われています。ここに傷が付くと読み込み時にエラーが発生してしまいます。傷をつけたり汚したりしないようにしましょう。特に,油脂類をつけるとポリカーボネイトが変質してしまうこともありますので,気をつけましょう。
この面に傷がついてしまった場合,傷の深さが0.6mm以下(DVDの場合)ならば,表面を削ることで再び読み出すことが可能になることもあります。
表面を削り取るサービスもありますし,自分で研磨する機械も比較的安価に(\5,000以下)販売されています。

【ラベル面に傷をつけない】
実は,CDやDVDはラベル面の方が記録層に近いのです。距離でいうと,たった20μm しかありません。その上にラベルが印刷されているのです。記録面を下にして置いた場合,ラベル面は無防備になります。ここに固いものを落としたりすると,あっという間に記録面にまで傷が及んでしまいます。なにしろ,数十μm の層ですから。
私達は,通常記録面を大切に扱いますが,実はラベル面の方がはるかに弱いのです。CDやDVDを置く時に記録面を下にして置きますが,実はその上に物を落としたりする可能性を考えるとその方が危険なのです。

DVD-R等にプリントしたドーナッツ状のラベル紙を貼ったりすることがありますが,一度貼ったものは,絶対に剥がしてはいけません。記録層ごと,ごっそりと剥がれてしまう可能性があります。

ちなみに,CDのラベル面に強力なガムテープを張り付けて,剥がしてみると見事に記録層が剥がれてしまい,CDが只の透明なプラスチック板になってしまいます。データを廃棄する時にはこの方法が使えます。

DVDの構造図

41ba65fd.jpg

バックアップ用のソフト

バックアップをする場合,WindowsXPに含まれているBackupソフトを使用するのもいいですが,初心者の方には,分かりにくいし使いやすいとは言えません。
それに,システムが起動しなくなったらBackupソフト自身が動かせませんので,データのバックアップにしか使えません。
ここは,市販のちゃんとした専用ソフトを使うことをお薦めします。最近は,色々と便利なソフトが出てきているようです。

私自身,システムファイルの破壊により,システムのリカバリを必要とする場面に何度か経験していますが,まるまる二日位の時間が必要でした。それでも,前と同じ環境には戻ることは困難でした。
システムをインストールすれば, システムを初期の状態に戻せますが,購入後にインストールしたソフトや各種設定は,もう一度やり直しです。
システムが正常なうちに,システムごとバックアップを取っていればと,後悔したものです。最近のバックアップツールを使えば,簡単にできただろうと思います。
その手間と安心感を考えると,これらのソフトは安いものです。

これらのソフトは,ネットでダウンロードしても買うことができますが,その場合には,システム起動用のCDを自分で作る必要のある場合もありますので,自分でCD を作る自信の無い人は,CDが添付されているパッケージ版の購入をお薦めします。


【システムごとバックアップ】

アーク情報システム HD革命/BackUp Ver.8 Pro

ライフボート LB Image Backup 9

ジャングル Bluest Image Backup1.5

プロトン Acronis True Image 11 Home

Acronis True Image Personal 2 ダウンロード版
(Vasta 非対応)

その他

【データをバックアップ】
WindowsXPに含まれているBackup

システムの標準品以外に,多くの製品/シェアウェア/フリーウェアがあります。
ベクター等のサイトで検索してみて下さい。
HDDの内容をバックアップするために外付けのHDDを使うことがありますが,バックアップするデータの量が大きいと,バックアップに時間がかかってしまいます。
通常,外付けHDDは,USB接続しますが,最近では,より高速の接続方法もあります。

それは,eSATAと呼ばれるインターフェースで,シリアルATAを外付けのHDDでも使用できるようにしたものです。
USB接続の場合と同様に,eSATAのHDDをケースに納めてパソコンの間は,eSATAケーブルで接続します。但し,パソコン側には,通常eSATAのコネクタは付いていないため,PCIスロットにeSATAアダプタを差し込み,そのアダプタに付いているeSATAコネクタにケーブルの端を接続します。

eSATAは,規格上150MB/s, USB2は60MB/sの転送速度ですから,規格上は,2.5倍のスピードがあります。
実際には,HDD自身の性能やアダプタの性能にもよりますから,常に2.5倍に速度が出る訳ではありませんが,バックアップの高速化は期待できます。
また,ケーブルの長さも規格上は,2mまで許されますので,HDDを外付けするには十分な長さです。
まだ,あまり多くの製品は販売されていないようですが,下記のような製品がありました。参考までに。

ラトックシステム eSATA PCIボード(ポートマルチプライヤ対応) REX-PCI15PM [REXPCI...


バックアップの速度の遅さで,バックアップするのが面倒だとお考えの方には,eSATAの採用も一つの選択肢でしょう。
cookieのバックアップ方法


HDDが壊れてしまって,システムやデータをバックアップから復旧したとしても,cookieが復旧できないと,とても不便です。
例えば,会員制のサイトに入る時など,たいていの方は,cookieを利用して自動的にIDとパスワードを入力するようにしていることが多いと思います。
cookieがなくなってしまうと,IDとパスワードを要求されますが,忘れてしまっていることが多いと思います。そうすると,そのサイトに入れなくなってしまいます。
そういうことのないように,バックアップを取る時には,cookieも一緒に取っておいた方が良いでしょう。
別ウィンドウで,cookieの保存の方法を示します。
こちら

バックアップの考え方

HDD修復が出来なかった場合には,バックアップデータが必要となります。
ここでは,バックアップに関する4つの考え方を提案します。

1) バックアップは必要最小限に

最近のハードディスクの容量は,ますます大きくなってきています。
今は,500GBのハードディスクが販売されていますが,もう少しすれば,
1TB(テラバイト) = 1000GB のハードディスクが発売されるでしょう。
こんなにも大きなハードディスクの中身をすべてバックアップすることは,
あまり現実的ではありません。理由として,

・バックアップ先の媒体に適切なものがない。
例えば,2層のDVDを使ってバックアップしたとしても,1枚で9.4GBですから
100枚以上必要になります。
こんな場合,バックアップの媒体としては,ハードディスク以外にはなさそうです。

・バックアップに時間がかかり過ぎる。
例えば16倍速のDVDでも,22MB/sの転送速度しかありません。
これで,500GBのハードディスクのデータをバックアップすると仮定すると,
6.5時間必要です。実際は,これだけの速度は出ませんし,DVDを50回以上交換
しないといけませんから,実用的ではありません。

結論 バックアップは必要最小限にしましょう。
本当になくなって困るものだけに限定してバックアップする。

2)Windowsのシステムはバックアップの対象から除く
再インストールで回復できますからバックアップをとる必要性は,小さいです。

3)写真等の大きなデータは,DVDに保存して,そちらをマスターとしておく。
ハードディスクの方がバックアップの扱いですね。

3)定期的にバックアップをとる 
被害を最小限にするために,定期的にバックアップをとりましょう。

4)バックアップは,なるべく自動化しておく
バックアップの手順が面倒だと,ついバックアップをとるのを忘れてしまいます。

バックアップ媒体を何にするか

バックアップを取りましょうと言っても,バックアップ媒体を何にしたらよいのか迷います。バックアップ媒体ごとに,その得失を説明します。

1.外付けハードディスクドライブ
最近では,大容量の外付けハードディスクも安価になってきました。
容量的にも500GB程度のものまであり,バックアップ媒体としては,
もっとも使いやすいと思います。

利点 : 大容量である(〜500GB)
     高速である
     バックアップの操作が楽
欠点 : 価格が高い


2.光学メディア
CD,DVD等のメディアです。最近は,BDやBlue Rayと言った大容量の
ものもありますが,装置も媒体も高価で,バックアップ媒体としては不適格です。

利点 : 容量が小さめ(〜9.4GB)
     装置が通常パソコンに装備されている
     媒体価格が安い
欠点 : 書き込み処理がやや面倒

3.フラッシュメモリを使う
最近では,フラッシュメモリを使った媒体として多くのものが市販されています。
USBメモリ,SDカード,CF(Compact Flush)等がこれにあたります。

利点 : 高速である
     小型
     バックアップの操作が楽
欠点 : 容量が小さめ(〜8GB)
     容量あたりの価格は高い
     静電気に弱い

4.ハードディスクドライブを複数台使う
デスクトップパソコンなどでは,複数のハードディスクドライブを装備している製品がありますが,そのうちの一台をバックアップ用に使うものです。
ノートパソコンでは,複数のハードディスクドライブは内蔵できませんので,この方法は使えません。

利点 : 大容量である
     高速である
     バックアップの操作が楽
欠点 : 内蔵のハードディスクドライブが一台しかないノートパソコンでは適用できない。

その他にも,Dドライブにバックアップをとるという方法もありますが,通常Dドライブは,Cドライブと同じ媒体上に区画を切って作られており,同じ媒体上にバックアップがあるのでは,物理的にハードディスクが壊れた時に,バックアップも同時に壊れてしまいますから,あまり意味がありません。


お薦めのバックアップ方法

バックアップ作業を効率良くするための方法を提案します。

【バックアップ方法1】
 この方法では,バックアップの量を最小限にすることを考慮しています。

バックアップ方法1の図

通常,個人でパソコンを使う場合,本当になくなったら困る情報の量は,極めて小さなものです。最近は,SDメモリなどの媒体の大容量化が進み,バックアップ媒体として使うことが可能になってきました。たとえば,SDメモリを使って本当に必要なデータだけバックアップすれば,2GBのSDメモリでも十分な筈です。
バックアップ媒体に軽便なものが利用でき,時間もかからないことです。
また,バックアップ専用のソフトも不要で,Explorerでコピー操作をするだけで済みます。
このために,Dドライブには大切なデータだけを置くようにすることです。
バックアップ時には,Dドライブ全体をコピーすることで簡単に作業が済みます。

画像や音楽データ等の大きなデータは,DVD−R等をマスターとして管理し,ハードディスクには,そのコピーを置いてあるという使い方をすれば,ハードディスクが壊れても,またDVDからコピーすれば良いだけです。DVDに置くことで,整理ができるというメリットもあります。
大体,数十〜数百GBのデータのバックアップをとるのは現実的ではありません。
バックアップ媒体に費用がかかりますし,バックアップ時間もかかります。

もちろん,Cドライブしかない場合でも,特定のフォルダーの下に必要なデータをまとめておくことで,この方法をとることができます。
例えば,c:\USERDATA というフォルダーを作って,データはすべてその下に置くようにします。
気をつけないといけないのは,メーラー等のデータは,c:\document and settingsの下に置かれてしまうことです。したがって,そのデータも一緒にバックアップしておく必要があります。

この方法の欠陥は,Windowsシステム自身はバックアップしていませんので,それが壊れた時には,再インストールが必要になります。その結果としてアプリケーションの再インストール,各種設定の再設定など面倒な作業が必要となってしまうことです。


【バックアップ方法2

Cドライブの中にあるWindowsシステムごとバックアップしてしまう方法です。

バックアップ方法2の図

Windowsシステムのバックアップは,Explorerでファイルをコピーする方法ではできません。専用のバックアップソフトが必要になります。
また,バックアップ量も多くなりますので,バックアップ媒体としては,外付けバードディスクが必要となります。DVD-R等でのバックアップも可能ですが,媒体の交換など面倒だと思います。

この方法の最大のメリットは,HDDが全面的に壊れてしまった場合でも,Windowsシステムごと回復できるので,万一の場合のリカバリが非常に簡単にできることです。
Windowsの再インストールやアプリケーションの再インストールも不要です。また,各種設定も復旧されますので,以前の状態に簡単に戻れます。

欠点は,外付けハードディスクと専用ソフトが必要になる点です。

DVDの寿命について

DVDをバックアップ媒体として使う場合,その寿命が気になります。
日本デジタルコンテンツ協会(DCAj)が,国内4種類,海外4種類のDVD系のメディアを試験し,その結果の詳細を述べた報告書があります。

それによると,30℃ 湿度80%の条件では,国内のメーカーのメディアは,最短でも9年の寿命を示したそうです。中には,エラーのレートが低過ぎて(品質が良過ぎて)寿命の予測ができないものすらあったそうです。(試験に何年もかかってしまうため)

それに対して,海外製のDVD-Rメディアでは,4製品とも,書き込み直後の時点で,既にエラーが激しく寿命予測ができない,即ち寿命ゼロ年という結果がでたそうです。

そうは言っても,安い海外製のDVD-Rで,問題なく使えているぞ,と思う方も多いでしょう。
この検査では,PIエラーと呼ばれる読み取り障害の数を測定し,それから寿命を推定するものです。
劣化が進むとPIエラーが増加し、最終的にデータ読み取りが不可能になります。
一定範囲におけるPIエラーの数が280に達すると規格上、DVDは品質が不適格と判断されます。
エラー補正機構があるため,PIエラーの数が280を超えたとしても,完全に読み取り不能になる訳ではありませんが,DVDの品質としては不適格なため,DCAではこれを寿命とみなしています。
規格から外れたDVDをバックアップ媒体として使う勇気はありますか?
いざ,バックアップの出番だとなった時に,媒体がエラーで読めなかった,そういう惨事が起こっては困りますよね。

尚,ここで国内,国外の区別は,媒体のメーカーを表します。国内のメーカーでも,海外で生産しているところは多いです。この場合は,メーカーがしっかりと管理をしているので問題ないようです。
こだわる方は,国内ブランドの国内生産の製品を選ぶことですね。

詳しいことを知りたい方は,こちらのレポートをどうぞ
長期保存のための光ディスク媒体の開発に関するフィージビリティスタディ (財)デジタルコンテンツ協会


DVDの信頼性

DVDをバックアップ媒体として使用する場合その媒体の選択には慎重を期して下さい。
最近では,量販店などで非常に安価にDVD-Rが売られています。

しかし,バックアップ用のDVDを買う場合には,価格だけで買うことのないようにして下さい。信頼性の低いDVDを使うとバックアップした筈のデータが読めないというようなことが発生する可能性があります。
現実に,私が安く買ってきたDVDでエラーが頻発して,バックアップ用としては使いものにならないものがありました。

買う時には,まず信頼できるブランドを選びましょう。
日本の有名メーカーのものであれば,ほぼ大丈夫だと思います。安いからといって海外の名前も知らないうようなブランドのものを買わないようにしましょう。

私は,個人的には「太陽誘電」ブランドのDVDを使用しています。一般の方には,あまり聞き覚えのないメーカーですが,CDやDVDでは日本トップの技術力を持つメーカーです。国内の多くの有名メーカーにOEMでDVDを供給していることでも有名です